2歳              立派に成犬になりました。        
     行方不明事件

      犬を選ぶためのガイドブックには、ビーグルは好奇心旺盛で木の葉が舞い降りてもぱっと飛びつく
      ような犬と書かれていた。 また、自分で判断をして行動できるとも。ある程度は覚悟していたが、
       その意味は自分勝手に好奇心のまま行動するということだと納得。
        
いつも散歩の後半は海岸の防波堤の下で自由運動にしてやる。思いきり走り回るとオヤツにつら
      れて帰ってくる。堤防を歩く時は、こちらの顔色をみながら少し先を行っては立ち止まる。
      遠くへ行きそうになったら「いけない!」と声をかけると待っている。一度は止まっても好奇心を押さ
      えきれずに松林の中に入ってしまうこともあるが、しばらくすると戻ってくる。
       その日は、いくら待っても戻ってこない。国道まで出てしまったのかと捜し回るがいない。いつもは
      林の中をカサコソと走り回る音が聞こえるのに、あたりは静まり返っている。
      近くの民家で犬が吠えているのを手がかりに尋ね歩くがいない。焦る気持ちを押さえて一度家に
      戻り、車で範囲を広げて捜す。すでに辺りは真っ暗になり一人では心細いので甥達に応援を頼む。
      車に跳ねられた姿が目に浮かんだり、誰にでもしっぽを振る犬なのでどこかへ連れていかれたのだ
      ろうかと思ったりする。大声で呼びかけるので、もう声も出ないほど。
      明日は保健所や役場に連絡し、新聞社にも頼まなければと、あれこれ考える。 寒さがこたえる。
      半分諦めて家で待とうということになり、念のため七、八度も捜した元の場所に戻る。
      と、そこにうずくまっているではないか。 呼びかけても鳴き声も出ないほど疲れきった様子。
      いったいどこにいたのかと聞きたいところだが犬には聞きようもない。 遊びに夢中になっていて
      気づくとおいてけぼりになっていて、ビースケなりに捜しまわったのだろうか。
      歩き方が変なので抱いて車に乗せる。家に帰ってよく見ると、肉球が切れてパックリと開いている。
      血は出ていないので消毒をして包帯をする。翌朝、獣医さんに診てもらうが縫合までは必要ないと
      のこと。 かくして四時間の行方不明事件は終わる。 しかし、いったいどこにいたのかと段々腹が
      立ってくる。  一日は神妙にしていたが、次の日はもう包帯を解いてしまう。無理矢理包帯をする。
      三日目には諦めて消毒だけにする。一週間で完治。逞しいビースケである。  
      ビースケ二歳の冬のできごとであった
    オババちゃん VS ビースケ
       
       
 犬小屋は、オババちゃん(飼主の85歳になる老母)の部屋の前のベランダにある。 母が、お菓子
      の袋を開けるとすぐさまガラスを叩いておねだりをする。根負けして一つやると納得する。カーテンを
      引いていても犬の聴力は誤魔化せない。
      夏場になって網戸にすると、なんと鼻で網戸を押して隙間を作り勝手に部屋へ入ってくる。何度修理
      をしても、また鼻力でこじ開ける。ガラス戸を細く開けていても開けるコツをマスターし、母の部屋を
      遊び場にする。ベッドの高さが丁度よいのか何度でも飛び登ったり降りたりして駆回る。
      その度、追い出そうとする母を遊んでくれていると思うのか嬉々として跳ねまわる。
      いつもはある程度遊ぶと出て行くのに、その日はなかなか出て行かない。オババちゃんが本気に
      なって怒るとなんと取り入れた洗濯物の上にオシッコを引っかけて意気揚揚と引き上げて行った。
      この日は、ビースケの完勝。
     かけひき上手
       
       
  ペットフードは、あまり好きでない。時々メーカーを変えて何とか食べさせているが、時には顔を
      背けて行ってしまう。チラッと見て横を向き、食べるのを拒否する。一食くらいはダイエットにもなるの
      でいいかと餌を下げてしまうが、次の食事も食べようとしない。 つい可哀想になり肉を少し餌の上
      にのせてやると、あっという間に全部たいらげる。食べたくない素振りをしたペットフードもたいらげ
      るばかりか、もっと欲しがる。  トッピングは、肉の他にちりめんじゃこ・ちくわ・鰹の生節・クッキー
      ささみジャーキーなど。  
       かけひき上手なビースケである。